こんにちわ。千葉市で相続・終活窓口を運営しております、菅原正道(すがわら まさみち)です。
今回は、任意後見監督人についての解説です。
最近父が認知症になってしまったので、私が正式に任意後見人になりました。
これから「任意後見監督人」と付き合っていくことになるのですが、どのように関わっていけばよいのですか?
任意後見契約が発効されると、任意後見人が本人の身の回りのことをサポートします。
任意後見契約が発効されているということは、本人はすでに判断能力が衰えてしまっています。
なので、任意後見監督人が、判断能力の衰えた本人に代わって任意後見人の業務をチェックしてくれます。
もしも任意後見人のサポート内容がお粗末なものであれば、「任意後見監督人から解任請求が出されてしまう」なんてことも・・・
そんなことにならないよう、任意後見監督人と任意後見人とは、適切な関係でありたいものです。
任意後見監督人ってどんな人?
任意後見監督人は、任意後見人の業務を監督する立場にある人をいいます。
任意後見監督人になれる人は、特に制限はありません。法人でもOKです。
本人が候補者をあらかじめ推薦することはできます。
また、任意後見監督人の選任を申し立てるときに、家庭裁判所に適任者の選任を依頼することもできます。
一般的には、弁護士や司法書士などの専門家が就任することが多いです。
最終的には、家庭裁判所の任意後見監督人候補者の名簿から選ばれた司法書士や弁護士、その他専門家の中から適性を考えて候補者に打診し、「候補者の同意」が得られれば任意後見監督人選任の審判により、任意後見監督人が決まります。
この名簿の中からだと、S司法書士なら任意後見監督人として適任だろうな。
お願いしてみようかな!
なお、以下の者は、任意後見監督人になることができません。
- 任意後見受任者又は任意後見人の配偶者
- 任意後見受任者又は任意後見人の直系血族(親や子どもなど)
- 任意後見受任者又は任意後見人の兄弟姉妹
(任意後見契約法5条) - 未成年者
- 破産者
- 行方不明者
- 家庭裁判所で解任された法定代理人等
(任意後見契約法7条4項・民法847条)
監督を適正かつ公正にするという観点から、任意後見人の近親者は、監督人にはできないわけですね。
任意後見監督人のお仕事
任意後見契約に関する法律の条文を見てみましょう。
主な職務は以下のものです(法7条1項)。
- 任意後見人の事務を監督すること。
- 任意後見人の事務に関し、家庭裁判所に定期的に報告をすること。
- 急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において、必要な処分をすること。
- 任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。
- 任意後見契約が終了した場合における終了の登記の申請
1 任意後見人の事務を監督すること
第三者としての立場から、任意後見人が本人の財産をちゃんと管理しているかどうか、身体ケアのための医療・介護ケアが適切なものか、定期的にチェックします。
毎月、任意後見監督人に報告書を出さないといけないのかよー
けっこう大変だな。
2 任意後見人がしっかり仕事をしているかどうか、家庭裁判所に定期的に報告すること
親父がボケている間に、預金や不動産はオレが好きに利用してやるぜ!
へっへっへっ・・・
いい加減な仕事ぶりだと、すぐに家庭裁判所に報告しますよ!
任意後見人の仕事ぶりは、しっかり監督させてもらいますからね。
裁判官!
あの任意後見人では、本人の財産を任せることはできません。
解任した方がいいですよ!
たしかに、あんないい加減な人に任せてたら、本人がかわいそうだねー
解任して、改めて「法定後見人」を付けた方がいいね。
任意後見人の仕事ぶりがあまりに杜撰なものだと、任意後見監督人から解任請求をされる可能性もあるのです。
任意後見人に不正な行為、著しい不行跡その他その任務に適しない事由があるときは、家庭裁判所は、任意後見監督人、本人、その親族又は検察官の請求により、任意後見人を解任することができる(任意後見契約に関する法律8条)。
3 急迫の事情がある場合に、任意後見人の代理権の範囲内において、必要な処分をすること。
任意後見人が急に事故に遭ってしまったり、病気になった場合など、急な事情により、本人のために代理権を行使することができなくなるケースです。
この場合、任意後見監督人がピンチヒッターとして、任意後見人に代わって本人の事務を行います。
急な事情がある場合は、私が何とかするわよ!
だからこそ、任意後見監督人も、本人の状況を把握しておく必要があるのよ。
4 任意後見人又はその代表する者と本人との利益が相反する行為について本人を代表すること。
利益が相反する行為とは、たとえば、
- 本人と任意後見人との間で、お金の貸し借りをする場合
- 本人と任意後見人が共に相続人となり、遺産分割協議をすることになった場合
- 本人と任意後見人との間で、不動産の売買をする場合
などが挙げられます。
こういうケースだと、任意後見人が自分の有利な条件で、本人とやり取りをする危険がありますよね?
そうならないよう、任意後見監督人が代わりに入って、本人の代理人として、任意後見人とやり取りをすることになります。
任意後見監督人とのかかわり方
任意後見監督人には専門家が付くことが多いことから、定型化された様式に従い、しっかりとした報告が求められます。
報告に当たっては、監督人から色々な要求もあるでしょうから、その都度応えていく必要があります。
気を付けるべき点としては、監督人が付いてからだけでなく、監督人が付く前の期間も調査されるということ。
たとえば、本人の判断能力が衰えていたにも関わらず、任意後見監督人選任の申立てをしなかった場合。
親父がボケ気味だけど、任意後見監督人の申立てはしないでいいや。
なんか任意後見人になると、報告とかめんどくさそうだしなー
あれっ!
この任意後見人、本人の同意がないまま任意後見人に就任したんだ・・・
ちょっと管理者としての資質に欠けるかもな。
今後も気を付けて後見人のことを監督していこう!
任意後見監督人や裁判官は、任意後見契約が発効されたときだけでなく、発行前の様子もチェックしています。
いちど任意後見契約を結んだからには、将来任意後見監督人が就任した後のことも想定して、しっかり本人の様子を見守っていく必要があります。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
任意後見監督人は、基本的に専門家が付くことが多いです。
なので、任意後見人は本人のサポートはもちろんのこと、報告業務も責任感をもって確実に行うことが求められます。
また、任意後見契約が発効した「後」だけでなく、契約後発効「前」の段階もチェックされています。
任意後見受任者は、本人の身上監護、財産管理という重要な任務を引き受けた以上、最初から最後まで責任を全うするという「強い覚悟」が求められているといえましょう。
わからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
「調べてもよくわからない、、、」
終活や遺産整理、任意後見などは専門的な内容のためわかりにくい点があると思います。
そういった時は一人で悩まずにお気軽にご相談ください。
千葉市で相続・終活窓口を運営している行政書士 菅原正道(すがわら まさみち) が親身になって対応します。
LINEの「友達になる」ボタン又は、お問い合わせボタンから必要事項をご入力の上、ご連絡ください。
LINEで今すぐ相談
コメント