【悲劇!?】もし財産管理委任契約をしなかったらどうなる?

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任意後見人
息子

本人の意識がしっかりしていれば、自分の財産くらい自分で管理できるだろ?

べつに「財産管理委任契約」なんて、わざわざ報酬払ってまで頼む必要ないんじゃない?

 

こんな疑問を解決します。

 

♠本記事の内容

  • 財産管理委任契約をしていなかった場合のトラブル事例
  • どういった対策をしていればよかったのか?

 

その前に、「財産管理委任契約ってなに?」って方は、以下の記事をご覧になった後にご覧ください。

⇒財産管理委任契約ってどんな契約なの?その活用法を解説します

今回は、財産管理委任契約をしていなかった場合の弊害について、事例を交えてご紹介したいと思います。

財産管理委任契約をしていなかったらどうなる?

財産管理委任契約は、本人の判断能力がしっかりしている段階で契約するものなので、そこまで必要性を感じることはないのではないでしょうか?

それは、「半分正解で、半分まちがい」です。

通常の人であれば、わざわざ自分の財産を他人に任せる必要はないでしょう。

しかし、自分の財産をうまく管理できない人にとっては、そう簡単にいくわけではないのです。

目や耳が不自由で、他人とうまくコミュニケーションが取れなかったり、寝たきりになってしまい、お金を銀行に降ろしに行けない人。

こういった方にとっては、財産管理委任契約は生活に不可欠な存在です。

また、財産管理委任契約の内容は、単に「財産管理」という面だけでなく、「身上監護」の面も含みます。

病院や介護施設などと、自分の契約をするのが困難な人にとっては、誰かに自分の契約を任せないと生きていくことさえ難しくなってきます。

以下、財産管理委任契約をしていなかった人のトラブル事例を3つ紹介します。

ケース1

★財産管理契約の内容として、本人(お父さん)の「財産の管理」は、司法書士に委任する。
「身上監護」については、親族である息子(Aさん)が対応する。
ただし、息子(Aさん)は、遠方に住んでおり、何かあったときすぐに駆け付けられるような状況になかった。
徐さん
息子Aさん

親父の財産の管理については、司法書士に任せるよ。

でも、病院の契約や介護のことなら、息子のオレがやるから大丈夫。

いざとなったら、飛行機や新幹線で駆け付けるからよ!

その後、ある日突然お父さんの具合が悪くなり、入院の必要性が出てきました。

しかし、身元引受人の息子(Aさん)は、仕事で忙しいようで、なかなか対応してくれません。

李さん
医師

すぐに転院の手続をしに来てください。

お父さんも早めの手術を望んでいるようですから。

徐さん
息子Aさん

申し訳ない!今週は北海道に出張で、親父のもとには行けないんだ。

来週中には駆け付けるから、それまで少し待っててもらえませんか?

その後、お父さん(本人)の容態は、ますます悪くなり、ついには意識不明の重体に・・・

結局、息子Aさんが病院に来る前に手術の手続を行うことはできず、お父さんは亡くなってしまいました。

李さん
李さん

早く転院の手続を家族の方がやってくれればよかったのですが・・・

お年寄りの方の体調は、急に異変があるものなので、緊急時の代理人がいれば助かるんですけどね。

ケース2

★見守り契約のみの契約で、財産管理委任契約はしなかったケース。
銀行の預金の引き出しは本人が行っていたが、ある日、本人が体調を崩し長期の入院生活をすることになってしまった。
診療・入院費用の支払は、その都度、専門家の司法書士が、本人からの委任状をもらって、銀行の窓口で対応していた。

先生、今月もM銀行の窓口で10万円を引き下ろしてください。

病院の入院費用の支払期限が迫ってきてますので・・・

江さん
司法書士S

わかりました。

では、私が代わりに銀行に行くので、また委任状を書いてくださいね。

あと、銀行の窓口の担当者に疑問に思われないよう、事前に電話連絡の方もお願いします。

お金を引き下ろすだけのことなのに、わざわざ委任状を書いたり、事前連絡をしたり、毎回めんどうだねー

銀行側としても、本人確認の重要性から、かなり慎重な対応を求められています。

不正な引き下ろしを防止する観点からですね。

財産管理委任契約という「包括的な代理権」を授与していないと、本人は、毎回委任状を書かないといけません。

本人にとっても煩わしさがあるでしょうし、依頼された代理人にとっても、毎回委任状を提示したり、電話連絡を入れたりと、相当な手間がかかるわけです。

 

ケース3

★判断能力はしっかりしているが、性格が良すぎて、困っている人がいたらすぐにお金を貸してしまうDさん(73歳)。
年金以外に特別に収入があるわけではありません。
このまま他人にお金を貸し続けるようだと、Dさん自身の生活が苦しくなってしまいます。

昔から困っている人を見ていると、ほっとけないんだよね。

自分の生活は、ちょっと苦しいけどね・・・

正義感が強いのはわかりますが、過度に財産を投げうってしまうようでは、かえって周りの人が心配になります。

いずれ、多額の財産を譲り渡してしまうような詐欺被害に遭う可能性もありえます。

Dさんの場合、まだ後見制度を利用する必要はないですが、やや判断能力が衰えかけている可能性があります。

世の中には、自分の財産を管理するのが苦手な人もいるのです。

自分自身で抑制がきかない場合は、財産管理人に依頼した方がいいかもしれません。

あの爺さん、何でも言うこと聞いてくれるから、ホント助かるんだよね。
次は、200万ほど借りちゃおうっかな~

人が良過ぎる方の場合、詐欺集団に巻き込まれないよう十分気を付けないといけないですね。

どうすればよかったのか?

「たかが自分の財産」、「たかが自分の身体」のこととはいえ、必要な人にとっては、財産管理委任契約の存在は日常生活を送る上で不可欠なものといえます。

さきほどの事例のように、「財産管理委任契約を締結しておけばよかったのに」と思うことも多々あります。

以下、ケースごとに対応策を考えてみました。

ケース1の対応策

財産管理委任契約で、「身上監護」については、近くにいる専門家に依頼した方がよいでしょう。

本人に何かあったときの緊急連絡先に指定してもらったり、入退院の手続などを任せておけば、遠方に住んでいる親族にとっても安心です。

「財産管理」という側面ばかりに着目せず、「身上監護」という面にも注目してみてください。

やはり、本人にとっては、いざという時にすぐに対応してくれる人の方が頼りになるのです。

ケース2の対応策

本人の預貯金の引き出しのために、いちいち委任状を書いていては、本人にとってだけでなく、代理人にとっても煩わしいでしょう。

銀行としても、毎回慎重に対応しないといけないので、時間もかなり掛かります。

そのため、あらかじめ財産管理委任契約を公正証書で作成しておき、預貯金の引き下ろし権限を代理人にまかせておくことが賢明といえます。

もちろん、契約を公正証書で行ったからといって、銀行側がすんなり応じるとは限りません。

ただ、財産管理委任契約を結ぶ前に、本人といっしょに銀行に行き、その旨を銀行の担当者に伝えておくなど、事前の打ち合わせをしっかり行えば、スムーズに処理できることもあります。

ケース3

人が良すぎるために、自分の財産を他人のために散在させてしまう方の場合、財産管理委任契約を専門家に依頼し、本人の預貯金だけでも管理してあげた方がいいでしょう。

まず、財産管理が苦手な方のための口座を別に作る。

そして、その中から毎月決まった金額を財産管理人から本人に渡すようにする。

そうすれば、多額の金額が他人に漏れる心配もありません。

江さん
管理人

Dさんの預金口座に、毎月5万円を生活費として振り込むようにしますね。

それ以上の金額が必要な場合は、私に相談してください。

毎月、必要最低限の額だけが振り込まれるのなら、オレも散財しないで済むから安心だね。

 

まとめ

いかがでしたでしょうか?

財産管理委任契約は、必ずしもすべての人が必要なわけではありません。

しかし、心身の衰えとともに、人はいつかは自分自身の管理ができなくなるときがやってきます。

身体が不自由になって自分の財産の管理ができなくなったり、病院との契約ができなくなったり・・・

また、もともと財産の管理が苦手な人もいるでしょう。

そういった方々が終生安心して生活するためにも、財産管理委任契約は不可欠な存在です。

もし身近に心配な方がいたら、ぜひ専門家に相談してみてください。

わからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。

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