最近、田舎で独り暮らしをしている母の体調が思わしくないようなの。
母は90歳の高齢なので、身の周りのことができているのか不安なのよね。
病院の診療契約だったり、預金の管理とか・・・
それなら、近くの信頼できる人に「財産管理委任契約」を依頼してみるのがいいかもしれませんよ。
「財産管理委任契約」って言われてもどんな内容なのか全然わからないわ。
母は足腰が弱くなってきたけど、頭の方はしっかりしていて、まだ認知症の疑いはないようなの。
そんな状況でも「財産管理委任契約」って、お願いする意味あるのかしら?
今回は、「財産管理委任契約」ってどんな契約なのか、について詳しく解説します。
♦本記事の内容
- 財産管理委任契約の内容
- 財産管理委任契約の活用方法
- どんな人が利用に適しているのか?
それではいってみましょう!
財産管理委任契約ってどんな契約?
財産管理委任契約とは、本人の判断能力がしっかりしている期間中に、本人の財産を預かって預金を管理したり、病院などの契約を代行したりする契約です。
財産管理委任契約の内容と言っても、単純に「財産の管理をお願いするだけ」というわけではありません。
依頼者の「財産の管理」を任せることも含みますが、それだけでなく「身上監護」の面も含まれる、というのがポイント。
たとえば、病院の入退院の手続や、介護サービスの申請・変更手続、料金の支払などの代理です。
任意後見とのちがい
これだけみると、「任意後見契約」と似ているように見えますが、異なる面もあります。
以下の表をご覧ください。
財産管理委任 | 任意後見 | |
契約時の判断能力 | 必要 | 必要 |
効力発生時の判断能力 | 必要 | 不要 |
公正証書の要否 | 不要 (あった方がよい) |
必要 |
財産管理委任契約も、任意後見契約も、最初に受任者と契約する段階では、本人の判断能力はしっかりしている必要があります。
契約する段階で、誰を受任者として選任するのか、どんな財産の管理を任せるのか、本人と受任者との間でじっくりと話し合いをして契約内容を決めることができます。
これは、両方とも共通していますね。
でも、最大の違いは、契約の効力が発生する段階のときなんですね。
任意後見の場合だと、本人の判断能力が衰えた段階で、任意後見監督人選任の申立てがなされることによって契約の効力が発生します。
これに対して、財産管理委任契約の場合は、本人の判断能力がしっかりしている段階で、契約の効力を発生させることができるんですね。
私が本人の身代わりとなって、本人の「身体」と「財産を守るために動き回りますよ!
たとえば、本人の判断能力がしっかりしていたとしても、こんな不具合はないでしょうか?
寝たきりになってしまったり、目や耳の衰えにより日常生活に支障が出てしまった場合。
- お金を引き出すのため、銀行のATMに並ぶのが億劫
- 目が見えづらくて、画面の操作方法がやりづらい・・・
- 病院の窓口での意思疎通が毎回うまく図れていない。
- ネット証券の操作方法がわかりづらくて売買のタイミングに取引ができない。
車いす生活だと、どうしても外に出るのが億劫になっちゃうんだよなー
「役所での手続や届出」や「賃料の支払」などの生活上の事務処理を誰かにお願いできないかな?
看護師さんの言っていることがよく聞こえなくて、どの薬を買えばいいのかわからんなー こないだなんて、なぜか睡眠薬を大量に買ってしまったぞ・・・
ネット銀行の操作が全然わからない・・・
入院費用の支払の振り込みをしたいのに、どうすればいいのかしら?
最近、時代の流れに全然ついていけてないわ。
こんな不具合があるのであれば、信頼できる人と財産管理委任契約を結んでおけば助かりますよね!
契約の終了は?
財産管理委任契約を締結した後、本人の判断能力が衰えてしまい、後見開始の審判、又は任意後見の効力が発生した場合には、契約は終了となります。
財産管理委任契約は、あくまで本人の判断能力がしっかりしている間だけ、その効力が発生しているわけですからね。
判断能力が失われた後については、その後の事務手続きは、後見人又は任意後見人に引き継がれる形となります。
受任者との信頼関係がしっかりしているのであれば、「財産管理委任契約」と「任意後見契約」の両方を契約しておく、というのもアリですね。
財産管理委任契約の活用方法
でも、自分の意識がしっかりしている間は、自分の財産くらい、自分で管理したいものよねー
他の人に任せるのは、なんだか不安な面もあるしなー
財産管理委任契約の内容・効力発生時期は、受任者との間で自由にアレンジすることができますよ。
たとえば、以下の3つの事例を見てみましょう。
すべての財産を任せる必要はない
財産管理委任契約では、本人の財産のすべてを受任者に任せる必要はありません。
たとえば、預貯金については自分で管理して、土地建物・有価証券・自動車など、自分で管理するのが億劫なものだけ受任者に管理を依頼する、という契約にすることもできます。
空き家になっている自宅と土地についてだけ、私が管理させていただきます!
預貯金は好きに使っていいと思いますよ!
面倒な土地や建物の管理だけ任せられたので、一安心だね。
預貯金の管理は、今のところ自分でなんとかなるからね。
契約の効力発生時期に条件をつける
財産管理委任契約は、契約してすぐに管理を任せる必要はありません。
本人の身体がピンピンしているのに、あえて管理をしてもらう理由はないですからね。
足腰がまだしっかりしている間は、自分の財産くらい自分で何とか管理できるよね。
でも、本人の身体に異変があったらどうでしょう?
そのときこそ、管理人の出番ですよね!
最近、外を出歩くのがキツくなってきたな。目も見えづらくなってきたし・・・
そろそろ自宅の管理をお願いするかな。
そこで契約時に、本人の心身に異常があったときに契約の効力を発生させる、という条項を設けておくこともできるのです。
たとえば、こんな感じの条項です。
ただし、本契約は、甲が傷病等により身体の不自由な状況となり、判断能力に衰えはないにもかかわらず、自己の財産を管理することが不十分な状況になった場合に、甲から乙に対し書面により本契約発効の意思が表示されたときに、その効力が発生するものとする。
財産管理と身上監護を各々別の人に任せる
財産管理委任契約は、必ずしも一人の受任者に任せる必要はありません。
複数人にお願いすることも可能です。
途中で受任者の方が心身不全になってしまったり、亡くなってしまうことも考えられますからね。
いざという時になって受任者がいなかったら、せっかく契約しても「絵に書いた餅」となってしまいます。
また、複数の受任者に役割を分担してお願いすることもできます。
具体的にいうと、
病院や介護施設の契約については、「元看護士のBさん」にお願いする。
こんな感じで、受任者の適正に合わせて、依頼内容を分担して定めることができるのです。
それぞれの専門分野によって、できることが違うからねー
複数の人にサポートしてもらえれば、いざという時に安心だね。
どういう人が活用すべき?
財産管理委任契約は、必ずしもすべての人が必要な契約とはいえません。
普段から、身の回りのことを世話してくれる親族がいる方は、無理してお願いする必要はないでしょう。
私の場合、近所にいる娘が面倒を見てくれているから大丈夫そうだね。
しかし、親族がいない方や、身内に頼りたくない方など、まわりのサポート体制が整っていないような場合は、財産管理委任契約のことを検討しておく余地があります。
たとえば、以下のケースに該当する方です。
- 耳や目の不自由な方で、サポートしてくれる人がいない
- 寝たきりになってしまった方
- 身体の動きが不自由になってきた方
- 管理する財産が複数ある、又は遠方にある
- 認知症までには至っていないが、徐々に判断能力が鈍ってきている
家族とは疎遠だし、自分の身の周りのことをサポートしてくれる人がいると、精神的にも安心かもな。
定期的に報告しに来てくれるので、孤立する心配もなさそうだし。
そうなんです。財産管理委任契約をしておけば、受任者が定期的に様子を見に来てくれるので、何かトラブルがあったときでも安心です。
気軽に相談できる専門家に任せるのがおススメです。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
財産管理委任契約は、本人の判断能力がしっかりしている期間内であれば、財産の管理だけでなく、身上監護に至るまで、契約で柔軟に定めることができます。
自由度の高い契約なので、本人の身体に支障が出ているときに限らず、身体が元気なうちに財産管理をお願いすることだってできちゃいます!
管理すべき資産が多い方や、一人で処理しきれない複雑な財産を持っている方などは、ぜひ検討してみてください!
わからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
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