先日旦那が亡くなったんだけど、旦那名義の建物と土地、預金などの財産は、誰が引き継ぐのかしら?
遺言書もないし、どう処理すればいいのかわかりません。もしかしたら、中国の旦那の実家にも財産があるかもしれないし・・・
子どもは2人いるんだけど、財産の分け方について相談しないといけません。
今回は、中国国籍を有していた夫が亡くなった場合、日本国内にある土地・建物は、誰が相続するのか?というご相談です。
結論
今回のケースですと、日本国内にある土地・建物、預金などの相続財産は、日本の法律が適用されます。
他方、中国国内に建物やその他動産がある場合、建物については中国法が適用され、動産については日本法が適用されます。
よって、Aさんは、亡くなったご主人の所有していた土地・建物・預金などの相続財産を子どもたちとともに相続することとなります。
もし、中国に建物があった場合には、別途中国の法に則って処理することとなります。
日本の民法による相続分は以下のとおりです。
- 妻(配偶者):2分の1
- 子 A男:4分の1
- 子 B子:4分の1
この相続割合は、あくまで目安にすぎません。
このあとは、相続人同士で話し合ってから財産を分けることになります(遺産分割協議)。
解説
中国人の方が日本に財産を残して亡くなった場合の法定相続については、日本の通則法36条により、中国の国際私法を確認します。
中国では、相続分割主義といって、「不動産の相続」と「動産の相続」とを分けて、不動産については、その「所在地にある法」を適用し、動産については被相続人の「住居地法」あるいは「本国法」を適用するという考え方がとられています。
日本国内にある財産
今回のケースだと、動産であれば、被相続人(亡くなった方)の死亡時の居住地を調べ、それが日本のときは日本の法律を、中国の場合であれば中国法を適用します。
中国人の方の所有する、日本国内にある自動車や宝石、日本で作った預貯金口座などは、日本の法律で処理されます。
不動産の場合は不動産所在地である日本の法律を適用します。
そのため、中国人の方の所有する土地・建物であっても、日本国内に存在する財産については、日本の法律で処理されることとなるのです。
中国国内にある財産
中国国内にある「不動産」については、中国法が適用されます。
この場合、たとえば、以下の点が日本と異なります。
- 相続人が誰になるのか?
- 相続分の割合
- 遺産の処理の仕方(遺産管理人の選任)
遺産の分け方については、現地の専門家も交えた上で処理する運びとなるでしょう。
他方、中国国内にある「動産」については、常居住地である日本法が適用されます。
まとめ
以上のように、中国国籍の方が亡くなった場合、「その有する財産がどこにあるのか?」、「不動産なのか、動産なのか?」、「普段どこに住んでいたのか?」によって、適用される法律が異なることになります。
不動産が国外にあるようなケースだと、その処理を巡って現地の代理人と話し合う必要があるので、財産の処理にかなり時間と手間がかかることが予想されます。
残された家族の方に迷惑をかけないためにも、自分の財産の処理の仕方については、生きている間に話し合っておくことをおススメします。
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