「任意後見契約」ってどんな契約なの?

任意後見
夏さん

「成年後見」って言葉はよく聞くけど、「任意後見」って実際のところ、あまり利用されてないんでしょ?

法定後見と何が違うのかしら?よくわからないことばっかりなのよね。

行政書士
行政書士

たしかに、「任意後見」の利用者の数は、「法定後見」に比べると、かなり少ないのが実情です。

大変便利な制度ではあるのですが、判断能力が衰える前の段階で契約が結ばれるものなので、あくまで「予防的」な位置づけなんですね。

ですから、申立てをしようという意欲が出づらい、というのが実態でしょう。

令和2年の成年後見制度の申立件数を見ると、法定後見(後見・保佐・補助)の申立件数が約3万6500件なのに対し、任意後見監督人選任の申立件数は、わずか738人
全体の約2パーセントくらいしかないのが現状です。

任意後見の流れ

以下の4つの段階を経て、進んでいきます。

  1. 本人が元気なうちに、将来後見人になってくれる予定の方と、あらかじめ契約で、「代理してもらう内容」を定めておきます。
  2. 任意後見契約の内容が「登記」されます。
  3. 本人の判断能力が衰え始めたら、本人・受任者・親族などが、家庭裁判所へ、任意後見人の業務を監督する任意後見監督人の選任申立てを行います。
  4. 家庭裁判所で、任意後見監督人が選任されて初めて任意後見の効力が発生します。
    以後、任意後見人は、任意後見監督人の監督の下、後見業務を行うことになります。

任意後見契約の内容

受任者に依頼する内容は、主に、自己の生活療養看護財産の管理に関する事務の「代理」についてです。

これらの内容は、契約の「代理権目録」に記載され、登記もされます。

本人の判断能力が衰えてしまったときは、本人の日常生活に関する契約、入退院や施設に入る契約、預貯金の出し入れなどの事務手続は、後見人が本人に代わって行うことになるのです。

どのような内容をお願いするかは、本人が元気なうちにじっくり相談できるので、本人の意思が尊重されやすい、というのが任意後見のメリットです。

任意後見契約と見守り契約はセットがおススメ!
任意後見だけの契約だと・・・ 「任意後見契約」とは、本人の判断能力がしっかりしたうちに任意後見契約で受任者に委託しておきます。 そして、将来認知症などで判断能力が衰えた段階で、契約で付与された範囲内での財産管理や法律行為を裁判所から選任...

法定後見とのちがい

後見人を自分で選ぶか、裁判所で選ぶか

最大の違いは、自分の面倒をみてくれることになる後見人を「自分で選ぶことができる」ことです。

王さん
本人

私がもし将来、ボケてしまったら、あなたにすべての面倒を任せるからね!

なるべく私の意向に沿うよう頼むわよ!

法定後見では、本人の判断能力が衰えてしまった段階で、家庭裁判所が後見人を選任することになります。
選任された後見人は、本人の親族がなる場合もあれば、第三者である専門家(弁護士や司法書士など)がなる場合もあり、必ずしも本人の希望どおりになるとはいえません。

専門家だから当然しっかり本人のために面倒をみてくれるでしょう。しかし、全く知らない人に財産を管理されたり、身体のケアについての代理をお願いするのは、相性にもよりますが、気が楽ではありません。

宋さん
宋さん

専門家がなってくれるのはありがたいけど、やっぱ自分のことをよく知っている人の方が安心だよなぁ

昔から自分のことをよく知っている人にお願いした方が、細かなケアや心遣いも期待できるので、判断能力が衰えたとしても、任意後見人の方が本人の安心感は大きいといえるのではないでしょうか。

代理権の範囲の違い

法定後見の場合、代理権の範囲は、財産に関するすべての法律行為です。

ただし、財産に関することなら何でも代理できるかというと、そうではありません。

法定後見の目的は、あくまで「本人保護」にあるので、本人の財産を減らす可能性のある行為については、代理できないことがあるのです。
たとえば、投資信託や株の売買といった投資に関することですね。

また、居住用財産(自宅やマンションの一室など)の売却をする際には、家庭裁判所や後見監督人の許可が必要となります。これも本人の利益を守るため。
しかし、なかには「自宅を売却して、その売却代金で介護施設に入所したい」というニーズもあるわけです。
でも、家庭裁判所が許可してくれなければ、自宅を売却できず、結局は施設に入所できなくなってしまいます。

一方、任意後見の場合は、本人と受任者との間で代理権の範囲を自由に定めることができます。

また、居住用財産を処分する際に、いちいち家庭裁判所や任意後見監督人の許可をとる必要もありません。

なので、任意後見の方が、事前に代理権の範囲を定めておけるので、自由度が高いというメリットがあります。

取消権があるか、ないかの違い

 

洪さん
法定後見人

あれっ!親父、いつの間に不動産投資なんて始めたんだ?

もともとそんな資産があるわけでもないのに・・・

今すぐ取り消さないと!

法定後見の場合は、法定後見人に取消権があります。

なので、本人がした意思表示に瑕疵があった場合、後見人はその行為を取り消すことができます。

一方、任意後見の場合は、後見人の権限は契約で定めた代理行為だけです。取消権までは認められていないのです。

なので、もし本人がミスに気付かず契約をしてしまった場合、法定後見では後見人自身で契約を取り消せますが、任意後見では本人だけしか取り消すことはできないのです。

宋さん
認知症気味の人

あー、なんであんな契約しちゃったんだろう・・・

どんな相手だったか全然覚えてないや。連絡先もどうやって調べればいいんだろう?やっぱ自分で取り消すのは億劫だなぁ・・・

後見人の知らぬ間に、本人が悪徳商法にだまされて高額な物を買ってしまった場合には、どうしようもないのです。

こういうケースでは、任意後見のままでは厳しいので、法定後見の申立てをして、後見人に取消権を付与してもらう、という方法があるでしょう。

まとめ

日本の高齢化は今後もますます進んでいきます。
2025年には、高齢者の5人に1人が認知症になると予想されています。

家族や仲間など周囲のサポートが得られる方であればいいでしょうが、現状周囲の人からのサポートがあまり期待できそうにない方は、「もしもの時の備え」として、任意後見契約を締結しておくことも考えてみましょう。

決して高い買い物ではないと思います。

わからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。

「調べてもよくわからない、、、」

終活や遺産整理、任意後見などは専門的な内容のためわかりにくい点があると思います。

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コメント

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