【専門家の視点】任意後見制度を有効に活用する方法

任意後見
朱さん

任意後見って、お願いしたとしても、実際のところは、ほとんど活用されていないんでしょ?

もしものときのために契約しても、使われないんじゃ意味ないですよね・・・

行政書士
行政書士

たしかに現状だと、任意後見契約の効力が発効されたのは、契約数に対しわずか5%くらい(令和2年度)。

これでは、せっかくの任意後見制度も、「絵に書いた餅」ですよね。

今回は、任意後見契約を有効に活用するための方法について、解説したいと思います。

「任意後見契約」ってどんな契約なの?
「成年後見」って言葉はよく聞くけど、「任意後見」って実際のところ、あまり利用されてないんでしょ? 法定後見と何が違うのかしら?よくわからないことばっかりなのよね。 行政書士 たしかに、「任意後見」の利用者の数は、「法定後見」に比べると、かな...

任意後見契約が効力を発揮できない要因

任意後見制度は、本人の判断能力が衰えたタイミングで、任意後見監督人の申立てをする。

この申立てをすることで、はじめて契約の効力が発生します。

申立てができるのは、本人配偶者四親等内の親族任意後見の受任者です。

本人が自身の異変に気付いて、自分で申立てができれば問題ありません。

しかし、以下の場合だと、任意後見監督人の申立てがなされず、任意後見契約の効力が発生しないままの状態になる可能性があります。

  • 本人より先に親族や任意後見受任者が亡くなってしまったケース
  • 多忙により親族や任意後見受任者が、本人の異変に気付かないままのケース
  • 本人の異変に気付いたとしても、あえて放置しているケース
徐さん
任意後見受任者の息子A

最近、親父がボケ気味で認知症の疑いが出てきてるけど、これを機に親父の財産は、俺が利用させてもらうか。ラッキーだぜ!

任意後見の申立ては、そのまましないでおくかな。

任さん
任意後見受任者の息子B

最近、仕事が忙しすぎるし、高校生の息子の進路のことなどで、田舎に住んでる母親の様子が全然わからんなー 無事に生きてるかな?

一応、任意後見の受任者ってことになってるけど、ぜんぜん任務を果たせてないし・・・

こういった息子たちのように、親族としての責務を果たしていない。任意後見受任者としての資質に欠ける者がいると、せっかく任意後見契約を結んでも、何の意味もなくなってしまうのです。

解決プラン

任意後見監督人の選任の申立てをきっちりとしてもらうために、以下の方法が挙げられます。

複数の任意後見受任者と契約しておく

任意後見人は、必ずしも1人である必要はありません。

複数人を選任しても大丈夫です。
たとえば、息子と娘、さらには妹の3人というようにです。

また、「法人」でもいいのです。

「1人では将来何かあったとき心配だ・・・」ということであれば、複数の人に依頼しておいて、いざというときに、その中の1人が後見監督人の申立てをすることができますよね!

たとえば、複数の任意後見人のうち、1人を親族などの身内にする。そしてもう1人を司法書士や行政書士などの専門家になってもらえば、お互いの監視機能が果たせられ、取りこぼしを防ぐことができます。

また、任意後見業務のうち、身上監護の部分は親族が担当し、財産管理や複雑な契約については専門家が担当する、というように、複数の後見人で業務を分担するという工夫もできます。

法人なら、複数の人が担当を受け持つことで、お互いのチェック機能を果たせるというメリットもあります(一人法人だと別ですが・・・)。

第三者によるチェック機能を追加する

任意後見受任者だけでは心もとない。

そういった場合には、第三者である専門家や身内の者による、「見守り契約」「財産管理委任契約」などを締結しておくのもいいでしょう。

一般に、任意後見契約は、親族や近親者などの身内と締結することが多いです。
ただ身内だと、どうしても管理が甘くなったり、なぁなぁに済ませてしまいがちに・・・

そこで、第三者が介在し、本人の様子を定期的に見て回ることで、本人の判断能力について「ダブルチェック」を図ることができます。
また、本人に「任意後見監督人の申立て」をするよう呼びかけることもできるでしょう。

専門家に任意後見受任者を依頼する

本人の意識がしっかりしている間に、懇意の専門家がいるようであれば、その方と任意後見契約を結んでおくことも考えておきましょう。

もともと信頼関係が構築されてあるのであれば、親族以外の者であっても、本人の意向に沿うよう十分業務を遂行してくれます。

注意点として、第三者にお願いする場合は、契約だけして放置されることがないように見守り契約も合わせて締結して、定期的なチェックも頼んでおくといいでしょう。

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まとめ

任意後見契約は、契約したらそれで終わりではありません。
本人が亡くなるまで、後見業務は続きます。

業務が始まる前段階として、契約の効力が発効する。そして、任意後見監督人の管理に置かれてはじめて、その意義があるのです。
そのためには、任意後見監督人の選任の「申立て」という手続が不可欠です。

信頼のできる任意後見人がいたとしても、時間の流れとともに人の体力や気分は変わるもの。

「絶対にあの人なら大丈夫!」

そう信じていても、いざという時に頼りになるかどうかは未知数です。

今回ご紹介したように、1人に依存しすぎるのではなく、複数人に依頼したり、法人にお願いするなどして、より万全な体制を整えてください。

わからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。

「調べてもよくわからない、、、」

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