2年前、息子と任意後見契約をして息子に受任者になってもらったんだけど、最近になって急に態度が冷たくなったのよね・・・
離婚したみたいだし、仕事も激務みたいだから大変なのはわかるんだけど・・・
息子を頼るのはいったん止めて、他の親戚に頼めないかしら?
任意後見契約も信頼関係に基づく契約ですから、途中で解約することも可能です。
ただし、任意後見監督人が付く前か、付いた後かによって要件が変わりますので、気を付けてください。
今回は、一度締結した任意後見契約を当事者の一方から解約することができるのか、というテーマについてお伝えします。
任意後見契約の発効前
任意後見契約の発効前ということは、任意後見監督人の申立てをする前の段階。
本人の判断能力が十分ある状態といえます。
この期間中は、本人としては、受任者が自分に合う人なのか、親身になって面倒を見てくれるのか、じっくり観察する期間といえるでしょう。
本人(委任者側)からの解約
まだ双方に判断能力があるわけですから、契約自由の原則により、本人はいつでも任意後見契約を解約することができます(任意後見契約に関する法律9条1項)。
ただし、注意すべき点があります。
解約する場合は、「公証人の認証を受けた書面」によってする必要があるのです。
口頭で一方的に伝えたり、ハガキや手紙で書面を送っても効力が発生しないのです。
任意後見契約を締結した際の契約書も、公正証書によって作成しましたよね?
それだけ重要な契約だからです。
なので、解約する場合も同様に、公証人の面前で作成された公正証書により、解任する必要があるというわけですね。
受任者側からの解約
受任者側からの一方的な解約も可能です。
まだ、本人の判断能力がしっかりしている段階ですからね。
受任者としても、自分の心身の状況や経済状況の変化、気分の移り変わりにより、受任者としての地位をやめたい、と思うことはあるでしょう。
解約する場合は、公正証書によってする必要があるのは、本人(委任者側)からする解約と同様です。
任意後見契約の発効後
本人の判断能力が失われ、任意後見監督人が付いている場合(任意後見契約の発効後)は、事情が異なります。
すでに本人の判断能力が失われ、解約した旨の通知を受領する能力がないわけですからね。
また、裁判所によって任意後見監督人が付いているわけですから、カンタンに職を辞するわけにはいかなくなります。
任意後見発効後、当事者の一方から解約をする場合、①「正当な事由」があることと、②家庭裁判所の許可という2つの要件が必要になります。
本人(委任者側)からの解約
まず、この段階だと本人の判断能力は衰えている状況にあるわけなので、そもそも解約の意思表示をする前提として、意思能力がないケースがほとんどでしょう。
「この後見人、ムカつくから辞めさせてー」と言ったところで、誰にも相手にされないでしょう。
なので、本人からの解約が認められるケースというのは、本人の意識が回復してきた場合などに限られるといえます。
ただ、この段階でも、任意後見人の態度次第では解任される(任意後見契約に関する法律第8条)場合があります。
つまり、任意後見人の側に、「不正な行為」があった場合、たとえば、本人の財産を横領した場合や、家裁への報告に虚偽があった場合などです。
本人からの解約が難しいようであれば、第三者である任意後見監督人や親族、検察官の方で、家庭裁判所に対し、任意後見人の解任を請求することになります。
受任者側からの解約
受任者からの解約の場合も、①「正当な事由」があることと②家庭裁判所の許可、という2つの要件が必要です。
あー、なんか後見人の業務って、いろいろ書類作ったり、報告作業とかあって、めんどくせーな。
こんな仕事もうやめだ、やめだ!
このような、いい加減な理由で任務を辞することはできません。
だからこそ、任意後見契約をする場合は、相当な覚悟をもってのぞむ必要があるのです。
まとめ
以上見てきたように、任意後見契約の発効前と発効後とで、解約できる要件がだいぶ異なることがわかりますね。
いったん任意後見監督人が付されてしまうと、そう簡単には解約できない。となると、本人の判断能力が衰える前にしっかりと見極めておく必要がありますね。
任意後見の契約をしたら、それで終わり!
というのではなく、定期的に任意後見人と顔を合わせたり、連絡を取り合うなどして、信頼関係を維持していきましょう。
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