任意後見だけの契約だと・・・
「任意後見契約」とは、本人の判断能力がしっかりしたうちに任意後見契約で受任者に委託しておきます。
そして、将来認知症などで判断能力が衰えた段階で、契約で付与された範囲内での財産管理や法律行為を裁判所から選任される監督人の下で任意後見人が行うというものです。
契約だけしても、実際に任意後見の効力が発生するのは、本人の判断能力が衰えてから・・・
(*だから実際に任意後見人に支払う報酬も、後見人が付いてから発生します。)
ここで、手続き上、注意しなければならない点があります。
任意後見人が後見監督人の監督下に置かれるためには、何もしないで自動的になされるのではありません。
本人やその親族、任意後見受任者により、「任意後見監督人選任の申立て」をしなければならないのです。
この申立てをするか、しないか、という点が任意後見制度の有効性を分ける大きなポイント。
というのも、本人の判断能力が衰えて、後見人のサポートが必要になっている状態にもかかわらず、申立てがなされないままになってしまうケースが起こるからです。
親族や任意後見受任者が本人の様子に気づかず放置されてしまっていたり、中には意図的に申立てをしないで本人の財産を食いつぶしてしまう輩もいるようです。
もう後見の申立てが必要かもしれないけど、そのまま放置してもバレないだろう。
ボケた親父の財産は今のうちに俺が処分してしまうぜ!
こうなってしまっては、せっかく本人が任意後見契約を締結しても意味がありません・・・
実際に、任意後見契約の契約数は、年間平均で約1万2000件。
そのうち、令和2年で任意後見が発効された(つまり任意後見監督人選任の申立てがされた)のは、738件。
契約数からみると、5%程度しか発効されていないのです。
せっかくの良い制度でも、これでは「絵にかいた餅」といえるでしょう。
見守り契約 or 財産管理契約による定期的なチェックが不可欠!
人間はいつボケてしまうかわかりません。
高齢になると、急にふだんできていた日常行為ができなくなってしまうかもしれません。
人との交流がほとんどない方の場合だと、周囲の人が気づくのは困難でしょう。
そこで、適切な時期に任意後見の効力を発揮できるよう、第三者の監視、あるいは専門家が任意後見受任者となって本人の判断能力がしっかりしているか、定期的なチェックが必要となるのです。
そのために存在するのが、「見守り契約」又は「財産管理委任契約」なのです。
これらの契約も任意後見契約とセットでしておけば、月に何回か本人の様子を受任者がチェックすることができ、必要に応じて任意後見監督人の選任申立てをすることができます。
あー、Cさん、最近ちょっと物忘れが多くなっているな。
お風呂にもほとんど入っていないようだし。
そろそろ任意後見監督人の選任申立てのタイミングかも!
任意後見制度を有効に発揮するためにも、おひとり様の方や身内が遠方に住んでいる方は、見守り契約や財産管理委任契約もいっしょに締結しておいた方がよいでしょう。
まとめ
「親しい人、自分のことをよく知っている人に成年後見人になってもらいたい!」
そう思って任意後見人と契約しても、任意後見契約が発効されなければ何の意味もありません。
見守り契約や財産管理委任契約は、任意後見契約とセットで申し込めば費用も安く抑えられますので、同時にやっておくのがベターです。
もし、契約していなくても、あとで契約を追加することもできます。
「ちょっと最近ボケてきたかしら・・・」
そう感じたときは、今のうちに任意後見受任者や身内の方に相談しておくことをおススメします。
わからないことがありましたら、お気軽にご相談ください。
「調べてもよくわからない、、、」
終活や遺産整理、任意後見などは専門的な内容のためわかりにくい点があると思います。
そういった時は一人で悩まずにお気軽にご相談ください。
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